読んだ木

研究の余録として、昔の本のこと、音楽のこと、3人の子育てのこと、鉄道のことなどについて書きます。

加湿機能付き空気清浄機を選ぶ

 

 春先に、空気清浄機を購入した。冬の頃から、慣れない鉄筋の建物に住んでいるために乾燥に悩まされていて、加湿器を探したが買わなかった。春になり、今度は猛烈な花粉に悩まされ、如何ともし難いので空気清浄機を探し始めたというわけである。その検討過程から決定までを、なんの参考になるかわからないが、メモ程度にここに記録しておく。

 単に機器の比較表を見たい人は、以下の目次から「機器の比較表・決定の理由、使用感」にアクセスするのがよい。

 

謎の言葉に惑わされてはいけない

 みなさんは、スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャスな状態がいかなるものか、ご存知であろう。

メリーポピンズ (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

スーパーカリフラジリスティックイクスピアリドーシャスは、有名なディズニー映画『メリー・ポピンズ』の歌のタイトルであり、老若男女に使われる英語の名詞あるいは形容詞では最も長い部類に入る英単語だ。原綴は Supercalifragilisticexpialidocious である。例えば、二郎で小ラーメンを普通コールで頼んだ時に、豚マシニンニクマシマシ野菜別皿で来たような場合の心境を、「こ、こ、これは!?!?!?スーパーカリフラジリスティックイクスピアリドーシャスなブツ。ズルっとやれば嗚呼……」というように使う(これは二郎等の愛好家として知られるキリヲ氏のネタのパクリである)。あるいは、横浜で慌てて乗り込んだ京急特快泉岳寺行きが発車した途端にエア急羽田空港行きになったと思ったら神奈川新町で打ち切り回送になった時に「スーパーカリフラジリスティックイクスピアリダァシェリエス」などと使う。

 

 正直なところ、僕自身、この、スーパーカリフラジリスティックイクスピアリドーシャスという単語の意味を正確に取れているわけではない。家電を探していると、この単語と同じくらい意味不明な言葉にしばしば行き当たる。特に、空気とか水とかを扱う製品では、目に見えないことをいいことに、摩訶不思議な名称がとみに出てくる。

 空気清浄機の界隈で意味不明な単語の筆頭が、プラズマクラスターである。僕が中学校の時に習った記憶では、プラズマとは原子・分子から電子が電離した状態で、電離した電子が陰イオン、電離された方が陽イオンとなる。電子はマイナスで陽子はプラスの電荷なので、一イオンの中でどちらが多いかによって、プラスマイナスが決まる。このサイト(プラズマクラスターの原理 | プラズマクラスター技術:シャープ)にあるシャープの説明からすると、水分子(H2O)を電離して水酸化イオンOH-(電子が一個多いのでプラス)と水素イオンH+(陽子だけなのでマイナス)を作り、また酸素分子(O2)から酸性化イオンO2-(酸素原子が二つではなく酸素原子一つに二つの電子が追加でくっついているという意味)を作るという。まずもって後者が僕には理解できないのだが、前者は中学校の理科室でやった実験だから、まぁ理解はできる。大気中なので再結合してすぐに水素にはならないというのも、そういうもんなのかと思うが、さらにそのイオンには水分子がくっついてきてクラスター状になり、そのまま風に乗って空気中に行き……というあたりで理解が追いつかなくなる。まぁ、湿気があればイオンの周りに水分子がつかないこともないだろう。また、空気清浄器がファンで風を吹かせているから、飛ぶのもわかる。だが、その間に全く状態変化しない確率はどのくらいのものなのか。また、それが空気中の大気イオンに占める割合も不明だ。そうすると、プラズマクラスターが正しいのは、機械の中で水を電離しているという点だけで、そんなことをして何の得があるのかはよくわからない。

ロウソクの科学 (岩波文庫)

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 同じサイトの下部の方で、メーカーとしては、「プラズマクラスター」によって何が得なのかを次のように説明している。第一に、イオンが空気中の菌などに付着して除菌、消臭する。第二に、イオンが電子とくっついて静電気を除去する。第三に、肌について保湿する。僕の感想としては、これをするためなら加湿で良い、というものだ。第一の点については、殺菌ではなく除菌という点がポイントである。要は空気中に菌より重いものを放出して菌とくっつけて下に落とす、という話だ。なら水分でいい。第二の点も、乾燥して金属表面から電子が電離しやすいから静電気が起こるのだから、加湿して表面に水分がついていればよい。第三の点は、加湿すれば肌に水分が付着するので、むしろイオンよりよい。ただ、加湿器をつけると大変だし高額になるから、とりあえず電離装置をつけてお茶を濁しつつ、新機能として打ち出したということだろう。

 まぁ、マイナスイオンとかプラズマクラスターは、完全に嘘とまでは言えないし(一応電離でイオンが発生しているというところまでは正しい)、それで健康被害が出るわけではないからいいのだが、基本的にこういう、スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス並みに理解できない単語が出てきたら、十分に理解するまで手を出してはいけない。わざわざその仕組みを色々調べて理解しなければわからないような単語を前面に押し出すような商品は、少なくとも消費者にフレンドリーではない。クレベリンのように、消費者庁から効果なしのお墨付きをいただいているのにベネッセのサイト『たまひよ』で賞をもらうような製品もあり、特に子育て世代で若く十分な教育を受けてこなかった親などは本当に注意したほうがいい。基本的にメーカーは子供の健康より売り上げを重視している。ベネッセが求めているのは親の笑顔ではなく親の個人情報である。これに関連して害虫駆除と称して害虫のエサを置かせる方式の商品なども問題があると思っているが、それはまたあとで書く。

沈黙の春(新潮文庫)

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 しかし、猜疑心で全ての製品を見ようとする必要はない。このような新しい機能について色々と考えを巡らす前に、まず自分が必要とする機能、効果を明らかにした方がいい。自分がどうなりたいのか。どうすれば快適なのか。例えば花粉や微粒子が嫌なら、まずそれらをきちんと集めてくれる(濡らして落とすのではなく)フィルターと、吸引能力が大事だ。イオンとかプラズマはハナから関係ない。空気中の菌を吸い込まないようにしたいなら、空気清浄ではなく加湿して菌やウィルスが水分にぶつかって壊れたり床に落ちるようにすればよい。然るのちに、作動音と吸引能力の兼ね合いとか、水タンクの形状と水漏れのリスクとか、そういった実用面での課題を乗り越えていく。そうすれば、買うべき機器は一つ二つに絞られるはずだ。あとは値段で決めればよい。そういう自分のニーズをよく明らかにしないまま、なんとなく「空気清浄」されたいというイメージだけで買うから、高いものを買わされる羽目になるのだ。そもそも「空気清浄」とはなんなのか。『風の谷のナウシカ』ではないが、清浄な空気なんてものはどこにあるのか。上高地の森の中か、病院の無菌室か、それともアロマで満たされた部屋か。漠然とした言葉に踊らされずに、自分の知っている言葉で、自分の感覚で、自分の希望に即したものを購入するべきである。

 

レビューを読んでみる 

 さて、実際に選んでいく上で、レビューを参考にすることになる。レビューを読むときにも、そのレビュワーが自分の言葉で書いているのか、よく知らない言葉や周りの評判を書いているのか、よく見極める必要がある。

 例えば、この一番売れ筋のシャープの加湿空気清浄機について見てみよう。除加湿18畳、空気清浄32畳と、リビングともうひと部屋分ぐらいをカバーできる性能を持つ。

 

 悪いレビューを読む必要はない。わざわざ悪いレビューを描こうとする心理状態で書かれたものは、往々にして実際よりも欠点が誇張されていたり、滅多に発生しない事象を書いていたりするからだ。むしろ、良いレビューを吟味することで本当のところを見極めることができる。要は、良いレビューで書かれている欠点を見るのだ。

排熱は盛大です。運転音は大きい。

 〔……〕

部屋を閉め切って運転しているので、当然のことと言えば当然だが、
外気温の高い日は、排熱が加わって、人が居られる環境ではなくなる。
人が居なければならない時は、部屋のエアコンで室温を下げる事になる。

製品コンセプトの問題だろうから、仕方がないのだが、適湿に達してコンプレッサー運転が
停止し、送風モードに移行するとその、送風音が意外と気になる。
更なる静音運転を期待したい。又は送風停止しないものだろうか。
タイマー機能も、機能はするが中途半端だ。希望の時間に立ち上げて、希望の時間に停止
出来るタイマーが欲しかった。(手動で擬き運転は出来るが)

ただ、他の方のレビューにもあるように、除加湿ともに駆動音が凄いので
音に敏感な方にはあまりオススメできません。

 排熱や作動音の問題は、機能とのトレードオフで検討すべき重要な点である。ただ、機器の性能としては申し分ないことがわかる。また、肯定的なレビューでも「プラズマクラスター」なるものに言及しているものはなく、むしろ取扱説明書には、動作音が気になる場合にはその機能をオフにしろとまで書いてあるらしい。

 同じ価格帯で、日立の加湿空気清浄機はどうか。こちらは1万円ほど安いが、除湿機能はついていない代わりに、空気清浄42畳、加湿30畳というパワフルさがある。

加湿のお水のタンクが小さいので給水がやや面倒ですが、デザイン的にも気に入っていますし、購入して良かったです。

水のタンクが小さいことと、足元のコマにストッパーがついていないことと左右にしか転がらないことが少し残念です。

一点だけ、気になるのは給水の頻度。普段仕事のため、昼間は使用してないのですが、朝と夜の使用でも一日一回は給水しないといけません。別の部屋で使っているシャープの空気清浄機の給水は1週間に一回あるかないかなのを考えると、給水の頻度がありすぎのような。。。

 給水が面倒、というのが目に付く。この給水タンクの大きさ以外には、文句ない製品だということだろう。

  ダイキンも、シャープと同じ価格帯の加湿機能付き空気清浄機を出している。加湿機能はついておらず、空気清浄できる広さも25畳程度までとある。

たまに音が気になる時がある(異常音では無い)ので、あえて星4つにしました。 

ストリームモードではそれなりに音が出るので、そこがマイナスポイントですが、総じて満足しています。 

小さい部屋で使っているのが原因かと思いますが、寝る際に加湿をオンにすると若干うるさく、たまにスーというストリーマーの音が気になることがあります。

 こちらも作動音についてのコメントだが、前出のシャープの徐加湿機ほどではない。静かなぶん、パワーも小さいということだろう。

 空気清浄23畳でよければ、シャープから半額程度のモデルも出ている。 

  ただ、こちらは流石にレビューが厳しい。

加湿も普通の加湿専用機と遜色ない性能ですが、
さすがに乾燥が激しい日はパワー不足を感じます。

 他の加湿空気清浄機ではなかった、加湿のパワー不足の指摘が出てくる。

犬を飼ってるので消臭に期待し購入しましたが、効果はハッキリとはわかりませんが、気持ち的にスッキリした感はあります。

 消臭も、「効果ははっきりとはわかりません」というような曖昧な表現。

 きわめつけは、

この手の物の導入を考えておられる方は、どれくらいの性能があるのか?対費用効果は?などを検討してみえるかと思いますが、シャープのプラズマクラスター製品は、実際に病院や飲食店などでもよく見かける定番の商品となっています。
意味のない物を買って置いているとは思えないので、それなりに評価を得ていると思ってください。
特に病院などでも設置率が高いので、効果が期待できる実例という事になります。

という、もはや自分のレビューではなく、「よく見かける」ことを理由に購入を勧めている。こういうレビューを参考にしてはいけない。

 とはいえ、リーズナブルな価格帯ゆえにレビューもここに挙げた他のモデルよりも格段に多く、ニーズがマッチする人には良い。要は、広告されている内容に飛びついたり、他人の言葉を信じたりするのではなく、自分で感じたこと、自分で考えたことをもとにすること、そういう言葉で書かれたものを信じることがもっとも大切なのだ。暖かい気がした、ではなく、暖かかった、匂いがなくなったと言われた、ではなく、匂いがしなくなった、そういう表現の違いによく注意するとよいだろう。

 

機器の比較表・決定の理由、使用感

 で、諸般検討の結果、amazonでポチったのがこれ。

  

 これを選んだ理由を比較表にすると、だいたい以下のような形になる。

シャープ 加湿 空気清浄機 プラズマクラスター 7000 スタンダード 13畳 / 空気清浄 23畳 2019年モデル ホワイト KC-L50-W

シャープ 加湿 空気清浄機 プラズマクラスター 7000 スタンダード 13畳 / 空気清浄 23畳 2019年モデル ホワイト KC-L50-W

2万円台と、比較した中ではもっとも値段が安い。10畳程度で空気清浄と加湿なら、これ一択だった。しかし今回対象とする、リビングと寝室両方(20畳弱)を換気するにはパワー不足。目的を達しない能力のものはないのと同じなので、これはやめた。

シャープ 空気清浄機【加湿機能付】(空清23畳まで/加湿:木造10畳、プレハブ17畳まで ホワイト系)SHARP 「プラズマクラスター25000」搭載 KI-NS50-W

シャープ 空気清浄機【加湿機能付】(空清23畳まで/加湿:木造10畳、プレハブ17畳まで ホワイト系)SHARP 「プラズマクラスター25000」搭載 KI-NS50-W

シャープで15畳以上加湿できる空気清浄機だとこれだが、値段が5万円を超えるので高い。レビューも少なく購入を見送った。

シャープ 除湿機 兼 加湿 空気清浄機 プラズマクラスター 7000 スタンダード 18畳 / 空気清浄 32畳 ウイルス 花粉 消臭 ホワイト KC-HD70-W

シャープ 除湿機 兼 加湿 空気清浄機 プラズマクラスター 7000 スタンダード 18畳 / 空気清浄 32畳 ウイルス 花粉 消臭 ホワイト KC-HD70-W

空気清浄機ではないが、上のよりも安い4万円台の値段で、空気清浄と加湿ができるパワフルな除湿機がこれ。除湿ができるのでより高機能で、木造の一軒家の一室とかで使うならこれでもよかった。しかし我が家は狭いアパート、躯体が大きく、音もうるさいということで、子供が音に敏感な小さいうちは使えないということで見送り。

ダイキン DAIKIN 加湿ストリーマ空気清浄機 ビターブラウン MCK70X(T)

ダイキン DAIKIN 加湿ストリーマ空気清浄機 ビターブラウン MCK70X(T)

こちらも二つ上のモデルと同じ5万円台のモデルで、評価がすこぶる高い。空気清浄31畳、加湿18畳と数値的にはシャープの上位モデルとあまり変わらないが、性能が群を抜いて良いという印象を受ける。wifi接続ができ、ファームウェアがアップデートされる点も、今後の拡張性を織り込むことができて良いポイントだ。ただ、如何せん値段が高すぎる。

日立 加湿空気清浄機 クリエア ~42畳 自動おそうじ機能付き スピード集塵 PM2.5対応 EP-MVG90 N シャンパン

日立 加湿空気清浄機 クリエア ~42畳 自動おそうじ機能付き スピード集塵 PM2.5対応 EP-MVG90 N シャンパン

これは3万円台のモデルで、この安さでありながら空気清浄42畳、加湿22畳と、スコア的にはダイキンの5万円のモデルを超える。なんといってもこのスマートな前面デザインがよい。また、空気が通る上でもっとも障害となるフィルターの目詰まりを自動で掃除してくれる。レビューの評価も高い。そこで、今回はこれを買うことにした。

 

 パナソニックのものは5万円以下の価格帯のものが見当たらず、逆にアイリスオーヤマのものは広い部屋に適したものがなかったので、いずれも今回の検討に加えていない。

 

 で、amazonって本当にそこで働いている人に申し訳ないのだが、ポチった翌日には届いてしまう。3日後ぐらいでも全然いいのだが。早速使い始めて、加湿機能付き空気清浄機なるもののもたらす快適さに非常に驚いた。

 まず、当然のことながら、部屋の空気がホコリとともに吸われ、ホコリがフィルターによって回収され、綺麗な空気が排気される。すると、家に帰るたびに悩まされていた鼻づまりが治り、目のかゆみが取れた。家の中でも自由に呼吸ができることのありがたさは、花粉症患者としては本当に喜びを噛みしめるところである。子供がずっと目をかいていたのも止まり、これはありがたかった。子供は湿度が下がるに応じてはっきりと肌荒れの程度が悪化するので、湿度をキープできることでそれが軽減された。軽減されるとどうなるかというと、それまで乾燥して肌があれ、そこが痒くなって掻いてしまって傷になっていたのが、痒くなくなり掻かなくなるので、傷がなくなるのである。顧みてむしろ、今までの我が家の環境の悪さたるやを痛感する。

 この日立の機器に限ってみれば、レビューで予期していたことだが、タンクはすぐからになるので継続した加湿のために毎日水洗いしてセットしなければならないのが面倒である。また、キャスターにストッパーがなく、吸気が背面と左右から行われるので、置く場所をかなり選ぶ。左右を空けなくてはいけないから、部屋の角ではなく、壁の真ん中あたりに置く必要があり、かつ子供やペットなどが触ったりぶつかったりしない場所を選ばなくてはならない。我が家の予定していた置き場の条件にはマッチしていたのでよかったが、悩む人は多いだろうと思う。

 よい点として、やはり静音性と吸排気性能の高さはまず挙げたい。ふた部屋丸ごと空気清浄と加湿がされ、まったく不足を感じない。それを使わない時と比べて、はっきりと違いが感じられる。加湿機能は空気清浄機のおまけでついている程度かと思っていたが、そうではないということがわかった。また、前面のデザインは好みだったが、それだけでなく、前面パネルがタッチパネルなのが非常に助かる。何か目に見える形でボタンがあると、子供はすぐ押したり叩いたりしがちなので、操作時以外はライトが消えて何もなくなるタッチパネルはよい。

 うちで日立製のものといえば、あとは掃除機くらいのものだが、日立は化学的なものや電子工学的なものより、電気工学的な部分に強みがある印象だ。eco運転や様々な自動運転の機能があるが、それほどインテリジェントな動きはしないし、プラズマクラスターとか、ダブルストリーマーといった、高度なパーツはついていない。しかし、基本的な部分でしっかりと作り込まれていて、こちらが求める機能を過不足なく発揮してくれる、という印象だ。

 

 そもそも昔のような風通しのいい日本家屋で、囲炉裏や水場のある生活であれば、こんな空気清浄機やらヒーターやらエアコンやらを導入しなくても快適に過ごせるんだが、と思わないでもない。だが、今の社会がこの都市の密集した生活に支えられているものである以上は、それに即した生活をしなければなるまい。それを変えようと思うと、これは大変な、政治上、経済上の革命が必要となることを覚悟しなければならない。とはいえ、僕も家族がいなければ、もっとシンプルな暮らしをしていたかもしれないが。ただ、常に、それらのない生活という選択肢も念頭に置きながら選ぶ、というようにしておきたいものだ。

寂しい生活

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