読んだ木

研究の余録として、昔の本のこと、音楽のこと、3人の子育てのこと、鉄道のことなどについて書きます。

東急池上線 車両いろいろ、1000系いろいろ

 子供が望むのままにお散歩していたら、京浜東北線蒲田駅に着いた。そこで、東急池上線に乗ることにした。子供は初めて乗る電車に期待を膨らませている。僕自身は昔、池上線沿線に住んでいた頃を思い出し、懐かしさを胸に東急線の改札をくぐった。

 そこに並んでいたのは、緑の東急7000系。僕の記憶の中ではまだ少数派だった新型車両が、関東では貴重な私鉄ターミナルの櫛形ホームを埋めている。早速乗ろうかと思ったが、席が埋まっているので一本見送り。すると、東急1000系1500番台のトップナンバー1501Fがやってきた。

▼手前が1501F、奥に7000系が2本並ぶ。この後ろからもう一本停まっていた7000系が、先に出発していった。

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 1500番台は、もと日比谷線に直通していた東横線の車両を、直通運転の中止に伴って改造したもの。僕も日比谷線を使っていた頃、たまにお世話になった。ほとんどは営団03系と東武20000系だったので、本当にたまにだったが。ただ、北千住で始発を待っていると、東急1000系がやってくることが多かった。

 その頃の地下直の東急1000系は、9000系と同じく東横線を代表する赤いカラーリングの8両編成で、高架や地下をギャアギャア言わせながら走っていた。転用されて緑の優しいカラーリングになり、多摩川線や池上線をのんびり走っている姿を見た時には、おまえも歳とって丸くなっちまったんだなって思ったもんだよ……

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 顔は相変わらず四角いけどな。

 

 僕の記憶にある7700系などはもういないようだった。あの歌舞伎顔とか言われてたやつ、好きだったんだけどな。しかも子供は1000系より7000系がいいと言い出して、1000系も見送って次に来た7000系に乗りこみ、中間車(2両目)端にあるクロスシートに向かい合わせで座る。やっぱり電車の旅はクロスシートに限る。

 子供は路面電車のように軒をかすめて走る電車が面白かったらしく、しばらくおとなしく乗っていた。が、石川台のあたりで流石に飽きて、降りたいと言い出した。そこで、洗足池で降りて池を散策し、公園へ。

 天気もいいし、日差しもぽかぽか。子供はノンストップで走り回っている。僕は池の鴨を見ていた。🦆

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▲子供に書けと言われて書いた7000系

 

 1時間くらい公園で遊び、モスバーガーでおやつタイム。そのあと帰ろうかと思ったら、すぐ裏手に線路が走っていて、子供がそこで電車の来るのを待つという。ちょっと寒い中、じっと待っていたら、来たのはオリジナルの1000系だった。

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 1021Fは僕の記憶にある東急の最もスタンダードなフェイスだ。

 

 * * *

 

 昔、1000系の前面が編成によって全然違う時期があって面白かった記憶がある。そう思って写真を漁ると、あったあった。以下は、5年前、2016年の蒲田駅での写真である。

 

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 当時のキャプションには、こうある。

東急1000系三つ巴。左奥から、前面貫通扉が中央にある1013F、行先表示器がフルカラーLED化された1020F、行先幕にアシンメトリーな貫通扉配置でスタンダードなフェイスの1023F。

 こんな情景はもう蒲田駅では見られないのだろう。*1そもそも、方向幕が本当に幕の車は、もう池上線には走っていないのかもしれない。池上線・多摩川線なんてわざわざLEDにしなくても、「五反田←→蒲田」「蒲田←→多摩川」「雪が谷大塚行」の三つのプレートを用意すれば足りる気がするが。

 あと、この頃は前照灯がまだシールドビームの1000系も多かった。

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 これも2016年に撮影した写真で、当時の説明書きがある。

左は最近前照灯がLED化されたという東急1505F。右は比較のために、従来のシールドビームを輝かせる1019Fの写真。

 今ではみんなLEDになってしまったのだろう。というか、当時はよくこれだけ色々な東急1000系を撮影していたものである。やはり沿線に住んでいるというのはいいものだ。電車に知らず知らずのうちに愛着が湧く。

 

* * *

 

 このように、色々と懐かしむことがあった。子供は電車が色々見れて満足げだった。7000系天国になってしまった池上線で、オリジナルの1000系と改造1500番台にもあえてよかったなぁ、と思いながら、洗足池駅に戻った。

 すると、なんと最後にビッグなサプライズ。「きになる電車」こと復刻デザインの1000系1017Fがやってきたではないか。

 これは、上の写真を撮影した2016年に登場したリニューアル車両で、電車自体は1993年に製造されたものだ。外見は昭和の頃の東急3000系のカラーリング、内装は木目調をベースとした落ち着いたデザインになっている(東急の公式ページ:きになる電車|さらなる安全・快適への取り組み)。戸越銀座駅をリニューアルするときに、木をふんだんに使った建築にしたのに合わせてデビューした電車だったと思う。

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 内外装リニューアルから5年、なんとなく一時期だけのカラーリングかと思っていたら、そのままでずっと走っていたのだ。雪が谷検車区所属31編成のうちの1編成なので、乗れたのはかなりラッキーである。

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 もうまたしばらく池上線に乗ることはないだろう。ローカルな風情があって好きな路線ではあるのだが。沿線にまた住むことでもあれば、お世話になるかもしれない。その頃まで1000系が残っているかどうか。もし残っていなかったら、上田電鉄にでも会いに行くとしようか。

 

鉄道車輌ガイドvol.16 東急目蒲・池上線の旧型車 (NEKO MOOK)
 

  

  ※車両ネタの記事では他に
東急8000系8500系の話→最近会った東急8000系ファミリー - 読んだ木
伊豆急8000系の話→伊豆急行線の8000系 - 読んだ木
伊豆急2100系の話→伊豆急2100系 キンメ電車と黒船電車 - 読んだ木
東武30000系の話→東武30000系の思い出 - 読んだ木
京急2100形・1000形の話→くるりの「赤い電車」の芸の細かさ - 読んだ木
もどうぞ。

*1:と思って調べたら、1013Fは真緑のラッピングを施されてアオガエルこと緑の旧3000系を「緑の電車」として元気に走っているらしい。旧3000系「緑の電車」ラッピング列車 運行のお知らせ|お知らせ|東急電鉄株式会社