下田公園の紫陽花(2021年6月中旬)
仕事が午前終わりの日に、下田公園の紫陽花を見てきたので写真をアップしようと思う。
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これは公園に到着する前、伊豆急下田駅の真南1キロ、小さな運河沿いにある「ペリーロード」という小洒落た遊歩道に咲いていた紫陽花。ペリーロード沿いにはカフェやレストラン、ギャラリーなどがあり、落ち着いた雰囲気。観光地といっても規模は横浜や小樽の運河には比べ物にならないほど小さいが、その小ささと人の少なさが魅力。
ちなみに、あまりのんびり滞在する時間はなく、気温も高かったので、スムーズに移動するために伊豆急下田駅で電動自転車を借りた。「伊豆ぽた」という伊豆急行のやっているサービスらしい。この辺りはMaaSの実証地域のはずだから、多少は経産省か国交省から金が流れているのだろうか。しかし、2時間1,100円という、1日100円の東京都内と比べるとべらぼうに高いものだ。歩けば10分以上かかるところを3分で走り抜けられるし、ヘルメットがあって日射を避けられるので快適ではある。ただ、受付の中年男性の、レンタル客を自転車窃盗犯の如く扱うような態度には苦笑を禁じえなかった。僕が男性の一人客だったからだろうか。
さて、下田公園に入るとこんな感じで満開の紫陽花が遊歩道沿いにびっしり。下田公園は城山公園という別名もあり、海に突き出た岬の山が丸ごと公園になっている。山の尾根に向かって遊歩道が伸びていて、それに沿って紫陽花が満遍なく植えられている。
植えられている紫陽花は3万本だったか、調べればすぐわかるのだろうが、種類も千をくだらないとかなんとか。公園入り口にいたスタッフの方が、観光客の高齢女性に紫陽花の種類を細かく聞かれて困惑していた。額紫陽花も風情があってよい。
途中、出店の出ている広場や開国記念碑などを経てしばらく上がってくると、稲生沢川の河口にある下田港の後ろに広がる下田の街を一望できるようになる。
河口がこの公園のある岬によって塞がれているような形になっているため、ここは天然の漁港として古くから使われていたらしい。また、この公園自体が下田城址であり、豊臣秀吉の軍勢に対峙した後北条氏の拠点があったところとして、史碑などが立てられている。
この日は青空が広がり、まだ夏に慣れていない身体にとっては大層暑く感じられた。花の色(実際は萼片であり、装飾花とも呼ばれる)の瑞々しさと、葉の青さが、まだ梅雨のあいだにもかかわらず本格的な夏の到来を予期させる。
静岡は東海地方の括りなので例年よりかなり早い5月中旬に梅雨入りが宣言されていたが、隣の関東甲信地方が梅雨入りしたのはこの写真を撮った翌週だった。春とも初夏とも夏とも言い難い、しかし快適な晴天である。
道沿いに続く紫陽花。路面は大振りの石畳だから歩きやすく、数年前に来た時と違ってコロナ禍で人出が少なかったため、のんびりと紫陽花鑑賞を楽しむことができた。
この写真の奥に写っている斜面はあじさい園になっているところで、道沿いだけでなく斜面全体に紫陽花が植わっている。これを見通せる撮影ポイントの横にはレモネードを売るモダンな出店が出ていて、犬を連れたグループが皆でくつろいでいた。
このとき公園を全体的にに見ればほぼ満開だったが、あじさい園のあるような標高の高い場所ではまだつぼみも残っている。下田公園のあじさい祭りは6月の頭から終わりまで1ヶ月いっぱい開催されているが、それが可能なのはこのように標高差と斜面の方角の違いによって咲く時期がずれているからなのだろう。
紫陽花が咲いているところを抜け、山の稜線をさらに歩いていくとつつじ園のようなところもある。もちろん今は何も咲いていない。さらにそこを抜けて山の反対側に出ると、このように太平洋を望むことができる。
このとき向こうからフェリーがやってきた。神津島と下田を結ぶフェリーのようである。下田公園の横にある港から発着している。街の中心からはやや外れているが、船が大きいのと水利権の関係で、市街に近い下田港の中までは入ってこれないのだろう。
人が少ないとはいえ、このように人がいない瞬間を捉えて撮影するのはやや難儀である。
この角度からは、僕以外にもシャッターチャンスを待ち構えている人がいた。
帰りにもう一度下田の街を。市街地の裏手にある綺麗な三角形の山は、その形から下田富士と呼ばれている。ドラえもんのアニメに出てくる「裏山」に引けを取らない幾何学的形状だ。
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以上、下田公園の紫陽花についての写真レポートであった。こういう記事は別段の新味もないが、季節のものだから備忘がてら記しておくにはよい。また来年以降に行くときの参考になるだろう。