読んだ木

研究の余録として、昔の本のこと、音楽のこと、3人の子育てのこと、鉄道のことなどについて書きます。

伊豆急2100系 キンメ電車と黒船電車

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 仕事で伊豆急に乗るようになったのは今年からだ。以前の記事(伊豆急行線の8000系 - 読んだ木)で書いているように、8000系には色々乗り、2100系の黒船電車にも乗った。しかし、乗っていなかったのが一つある。それは、昨年末から定期検査とリニューアル工事に入っていたキンメ電車こと2100系R-3編成である。

 

定期検査明けのR-3編成キンメ電車

 2021年6月11日に運行を再開した伊豆急2100系R-3編成、キンメ電車にこのたびようやく乗ることができた。2100系の運用はAパターンとBパターンの二つが設定されており、どちらの運用にどの編成が充当されるかは、毎月伊豆急のホームページで公開されている、とツイッターで親切な人が教えてくれた。

 1988年製のキンメ電車は2100系3次車といわれ、1990年製の4次車、R-4編成黒船電車よりはすこし古い車両であるが、両者の間にほとんど新旧の程度の違いは感じられない。定期検査は4年に1度で、前回2016年末から2017年にかけての定期検査で大規模なリニューアルが施され、キンメ電車へと生まれ変わった(伊豆急行リゾート21「キンメ電車」お披露目 | 話題 | 鉄道新聞)。それまでは後述する通り、水色と青の伊豆急のオリジナルカラーを纏っていた。行先表示器は三色LEDで、車両のカラーとマッチしていると言えなくもない。今回はそれから4年経って、キンメ電車になってから初めての定期検査であった。

 新製時にはロイヤルボックス車(グリーン車、サロ2183、1991年増備)が連結されていなかったため、基本編成にも一両サハが組み込まれている。(下田方)Tc-M-T-M-M-M-Tc(熱海方)という編成だ。編成内でこのサハにのみトイレがついている。

 黒船電車では2018年末からのリニューアル工事でコンセントが海側4人掛けボックスシートについているが、これまでキンメ電車にはついていなかった。今回のリニューアルで山側2人掛けボックスシートにコンセントが設置された。僕のようなソロのビジネス利用客には、コンセント席への着席機会が大きく、また揺れにくい車両中央部の座席にもコンセント席があるという点で、ありがたい仕様となっている。黒船電車のコンセント付きボックスシートは台車の上になる車両の両端部にあるからため、やや揺れるしモーター音がする。

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▲下田方先頭車

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▲熱海方先頭車

R-3編成2021年定期検査前との比較

このキンメ電車に僕は数年前にも乗っていたようで、iPhone6で撮影した写真が残っていた。

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 この写真、バックアップのためにiCloudへアップされ、さらに容量不足のためにダウンロードされ外付けフォルダに、そこから内蔵ストレージのフォルダに……と移動している間に、撮影日が不明になってしまった。しかし、この写真には実は非常に重要な情報が写されていて、この写真が撮影できた日はこの1日だけ、という日を特定することができる。

 それは、前面の左上の列車番号だ。1661Mとある。この運用は、伊東→熱海という伊東線内限定運用で、普段は8000系が運用についている。2100系のR-3編成がキンメ電車になってからこの運用についたのは、調べた限りではこの1回のみで、それは2017年6月10日土曜日のことであったらしい(伊東線・伊豆急行線運用情報)。案の定、その日をGoogle Mapのロケーション履歴で調べたら、僕はその時間に伊東にいた。

 上に載せた定期検査明けの写真と比べると、この時にはあった前面のIzukyu KINME TrainやResort21の文字がいつの間にか消されているようで、新しい方はスッキリした印象を与える。他はあまり変わりがない。R-3編成がリニューアルされてキンメ電車になって出てきたのが2017年の2月であって、この写真を撮った時はまだそれから数ヶ月しか経っていなかったから、こちらの写真に写っている2017年のキンメ電車も綺麗なボディである。

旧塗装のR-3編成

 昔の写真を整理していたら、旧塗装の、つまり伊豆急オリジナル塗装のR-3編成の写真も幾つか出てきた。

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 これは2015年に撮った写真。この頃はまだ行先表示器も幕式であり、両サイドの前照灯などと繋がったデザインになっている。つまり、以下に見るR-4編成黒船電車と同じだったわけだ。側面にはイルカの絵が描かれている。

R-4編成黒船電車も快走

 話を今に戻して、今年のキンメ電車定期検査中は、運用と僕の通勤のタイミングの都合上、R-4編成黒船電車に乗る機会が多かった。こちらは2000年中頃に、R-1編成を引き継いで「黒船」塗装になったものだ。行先表示器が未だに幕式なのが渋くていい。

 新製時には、初のグリーン車「ロイヤルボックス」車両の組み込み編成であった。その後、ロイヤルボックスはR-1〜3編成にも組み込まれていくことになるが、JR線内での「リゾート踊り子」運用の消滅とともにほとんど出番がなくなる。ロイヤルボックス車両は伊豆急ホームページの本編成の座席表には記載が残っているものの、ここ数年組み込まれることはないまま、現在は伊豆高原の車庫に留置されている。

 また、ロイヤルボックスと両先頭車以外は全て抵抗制御の電動車である。つまりロイヤルボックスを組み込んでいない現在では、Tc-M-M-M-M-M-Tcという編成で走っており、どの中間車に乗ってもモーター音がうるさい。電動車比率が高い分キンメ電車よりも多少加速が良いのかも知れないが、比較していないのでわからない。酷いヨーイングに悩まされるE257系に比べれば、乗り心地は安定しており、ふかふかのシートが快適で、音もそれほど気になるわけではない。

 コンセントは海側の車両両端部にある4人掛けボックスシートに設置されており、一人客で使うのは気が引けるが、コロナ禍の現状ではそれほど混んでおらず、毎回利用させてもらっている。

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▲下田側先頭車

 

ちなみに、伊豆急8000系についても以下の記事でまとめている。

yondaki.hatenadiary.jp

 

 こちらはやってきたばかりの209系を下田で写真に収めたときの記事。

yondaki.hatenadiary.jp

おまけ

伊豆高原駅の駅舎から車庫を見下ろして撮った写真があった。真下に黒船電車、車庫には旧塗装のR-3編成、8000系たち、さらには100系の姿もチラリ。左端奥には「トランバガテル」ラッピングの8000系も。

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※車両ネタの記事では他に
東急8000系8500系の話→最近会った東急8000系ファミリー - 読んだ木
東急1000系の話→東急池上線 車両いろいろ、1000系いろいろ - 読んだ木
東武30000系の話→東武30000系の思い出 - 読んだ木
京急2100形・1000形の話→くるりの「赤い電車」の芸の細かさ - 読んだ木
もどうぞ。