読んだ木

研究の余録として、昔の本のこと、音楽のこと、3人の子育てのこと、鉄道のことなどについて書きます。

我が家のロートル家電・電子機器たち

 

電子レンジ(2009年製)

 我が家の電子レンジは2009年製である。東芝のER-H3というモデルだ。

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2009年製電子レンジ 東芝ER-H3

 ここの記事に取り上げられているものと比較すればわかるように、これは我が家では新しい部類に入る家電である。買ってからまだ十年ちょっとしか経っていない。

 これはヘルシオなど最新の機器(ミレニアル世代の三種の神器 - 読んだ木)に比べれば機能はないも同然に見えるかもしれないが、しかし写真にあるように、自動調理機能は6種類、レンジ、オーブン、グリルという三つの基本調理機能がある。

 このうち、1の「あたため」機能は、押せば適当な時間で温めてくれるもので、いちいち時間設定しなくていい手軽さからよく使っている。3回に2回は十分に温まらないので2回押すことになるが、それもご愛嬌だ。あと、2の「牛乳」機能も牛乳を温めるときには便利。これはちゃんと機能している。基本調理機能のうち、レンジとオーブンは頻繁に利用している。6の「生解凍」も一時期使っていたが、あまりに時間がかかるので最近はもっぱら流水解凍している。

 しかし、買ってから10年以上が過ぎた最近になってようやく使い始めた機能もある。一つは5の「ふっくらパン」だ。これまでは、パン屋で買ってきたパンを食べる時、ちょっとトースターであっためたほうが美味しいよね、みたいな感じでレンジの上にあるトースターで温めていたのだが、ある時レンジにも「ふっくらパン」という、まるでパンを温めるためにあるかのような機能があることに気づいた。気づくの遅すぎるだろ、と思われるかもしれないが、人間というのは愚かなので勘弁してほしい。使い方が分からないのでググると、ネット上にこのレンジの取扱説明書のpdfが公開されていた。便利な時代である。この機能には、「全体的にパンをふっくら温める機能」「外はカラッと、中はふっくらと温める機能」「外もカラッと、中もカラッと温める機能」という三つのバリエーションがさらにあって、パンの種類別に温め方を選べるのだ。これは驚きである! 早速試すと、確かにその機能通り、美味しくパンが温まるではないか。青天の霹靂とはまさにこのこと。

 もう一つ、最近になって使い始めた機能は3の「カラッとグルメ」で、惣菜のコロッケなんか買ってきて、普通に食べてもレンチンしてもベチャベチャで、トースターだと温まらずに漕げるという厄介な代物が、これだと外はカラッと、中はホクホクに温まる。いやーすごい、十年前の技術。

 ちなみに、4の「お弁当」と、基本調理機能の「グリル」はまだ使い方がよく分からないので使ったことはない。

 

 ▼今でも昔とおんなじような電子レンジが売ってるんだね、てっきり世界は全てヘルシオになってしまったのかと……

 

デジタルカメラ(2005年製)

 去年(2020年)の6月26日にfacebookにポストした文章。

 我が家で最も古い電子機器は、オリンパス のμ800digital である。子供のおもちゃにしているが、2005年製でまだまだ現役である。今回の売却の行方如何に拘らず、とうにメーカーサポートは切れている。

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オリンパス μ800 digital

 思い返せば、写真をやり始めの1999年以来、僕はペンタックスのMZ7を使っていた。μ800を買った頃は、手頃なサブ機というか、スナップ写真を撮るに使っていたのだが、これが案外色味もいいし、マクロなどの機能も充実していて、しかも露出など撮った時に画面で確認できるとあって、だんだんMZ-7の方はご無沙汰になった。ついには2009年の夏にレンズごとバイト先の誰か(可愛い女子高生だった。今は話しかけただけで犯罪になるだろうが、当時の僕はまだ大学生だったのだ)にあげてしまって、それ以来僕はμ800しか使ったことがない。

 まぁ、一眼レフの主な用途であった登山や鉄道を楽しむ暇がなくなって写真を辞めたということもある。ただそれ以上に、手軽にそれなりの質の写真を撮れて、しかもパソコン上で管理できるという利便性に、一眼が敵わなかったのだ。

 そのあとデジ一やミラーレスなどが流行ったが、どちらかといえばそれらは銀塩では人間の勘で設定していたものを機械がやってくれるようになったというだけで、銀塩のころよりもなにか描き方が進歩したということではないように思う。露出、SS、絞り、フォーカス、これらの最適な采配が取れればカメラによる描写はある程度思いのままにできる部分が、少なくとも素人にとってはあるのであって、ならばデジカメでも、レンズ以外は銀塩の一眼レフに比して十分な機能を有していると言ってよい。銀塩に比べれば、ISOを任意に設定できると言う点で格段に自由度が高まったとすら言えるだろう。

 xdカードに12ピン平型というほぼオリンパス独自規格のUSB端子という、今ではどこを探しても互換性のないような代物になってしまったが、まだしばらくは現役で活躍してもらおうと思う。

▼ 今時のオリンパスのデジカメはクラシックでかっこいいな。iPhoneでしか写真撮らないけど。

 

 なお、これが我が家最古の家電と思っていたら、冷蔵庫の方が古かった。なんと驚異の1997年製。省エネもなにもあったもんじゃない。

冷蔵庫(1997年製)

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冷蔵庫のファンと吸熱フィンの部分。下がヒーター。

 これは2020年夏の時にフェイスブックで書いたやつ。

 『ネイチャー』に、ムペンバ効果を証明する論文が掲載されたという。水より温水の方が早く凍るというこの効果は、身近なようだがその原理についてはまだ解明されておらず、議論が続けられている。熱というのは厄介なものだ。それはベルクソンがいうように、大きさでは測れないし、変化でありながら振動という形で空間すべてに広がることで安定しようとする。われわれは四角い氷を削って丸くすることはできるが、0度の氷を切って-5度の氷と5度の水に分けることはできない。そこにはエネルギーが対象となる物質全体に拡散するまでの時間が介入するからだ。今回の論文は、温かい流体の内部で温度のばらつきが、つまり多様な振動があり、まだ画一的な振動へと収斂されていないものが、低い温度にさらされることによって急速に低い温度へと、つまりある画一的な狭い振幅へと収斂していくということを証明したもののようだ。
 われわれはしばしば、強い力に屈する。変化に富む自由な動きも、巨大で画一的な振動に接し、それが侵入してくれば、その振動に身を委ねざるを得ない。そのような事態が、我が家の食卓の香りの港ともいうべき冷蔵庫で起こった。3K放射を除いては地球外部のただ一つの熱源である赤い輝きを誇る太陽に照らされ、その熱源の支持者たるコンクリートアスファルトに強制されて上昇する外気温は、室温をも巻き込み、しまいには冷蔵庫内の気温もそれに屈服させた。いやしかし、なぜ冷蔵庫がそれに屈服しなければならないのか。冷蔵庫は暑い空間にあってもその空間だけは寒いことが許されているという特例的な空間なのであって、冷蔵庫まであったかくなってしまったら我が家の食卓はどうなってしまうというのだ。
 そこでわれわれは冷蔵庫がどうなっているのか調べた。コンプレッサーの作動音は正常であり、冷蔵室はあったかいのに冷凍室と野菜室は稼働している。冷蔵室のスイッチを入れると、冷蔵室の照明が消え冷凍室奥のファンが回る音を聞くことができる。となると、原因は一つである。霜取りの不良により、冷媒管の通る蒸発器が凍りついているのだ。
 ファン式の冷蔵庫の仕組みは、エアコンと変わらない。コンプレッサーにより圧縮され高温になった冷媒が放熱器(凝縮器)で放熱され、膨張弁で解放されて膨張する時に蒸発器(熱交換器)で外部の熱を吸収する。熱が吸収されて冷えた空気を、ファンで庫内に循環させる。エアコンと異なる点は、冷蔵庫では氷点下になるまで熱を吸収するので、空気中の水蒸気が結露して蒸発器を凍りつかせ、熱交換できなくしてしまうという点である。そこで蒸発器の下には霜取り用のヒーターが、上には温度センサーがついており、蒸発器が霜で凍りついてしまった時や、一定の時間冷やした後に、ヒーターで霜を溶かす仕組みになっている。しかし、過熱防止のヒューズが切れていたり、温度センサーがぶっ壊れていたり、霜がつきすぎたりすると、ヒーターの能力が発揮されず、蒸発器は真っ白に凍りつくのだ。
 冷凍室の中身を引き出しごと全部出してバックパネルを開けると、案の定霜で真っ白に覆われた蒸発器が出てきた。通電してみると、ファンだけが元気よく回る。よくみると、冷媒の一番下の列だけ申し訳程度に氷が溶けている。ヒーターは仕事をしていないわけではないが、すでに氷がつきすぎていたのだ。誰にでも限界はあるし、限界を超えて頑張って壊れるより、できる範囲で仕事を淡々とこなしてもらったほうが、長期的にはいい。そこで、家電修理屋のお兄ちゃんがやるのと同じように、ドライヤーで氷を溶かしてやると、中から銀色の蒸発器が登場する。氷の力でフィンがところどころ折れ曲がっているが、綺麗なものだ。全部溶かしたかったが、横に置いてある製氷トレイの氷の溶け具合からして、そんな時間的余裕はない。3分の2ほど溶かしたところで速やかに組み立て直し、冷凍室に全てを収め、通電する。
 このような事態を引き起こした原因に、心当たりがあった。急に暑くなったのに加え、かねてからコロナ対策で外出を減らすため食品を大量に冷凍室で保管していた。開閉の回数も多くなり、庫内温度の維持に不安が生じた。そこで、冷凍室の出力を最大にしたのである。何度も外気の湿気と温かい空気にさらされ、それを全力で冷やしていた蒸発器は、あっという間に凍りついてしまったのであろう。冷凍室を開けるたびにまるでCMのごとく白い蒸気がもくもくと湧き出すようになり、涼しい感じで良かったのだが、それはだめなのだ。活動が激しすぎたのである。もちろん、それで望む結果が出れば良いのだが、むしろ逆の効果をもたらしてしまった。とはいえ、冷凍室のスイッチを強くした時の僕に、そんなことが予測できるはずもない。とにかくこの結果を踏まえて、善後策を速やかに打っていくしかないのだ。
 もとより夏は、冷蔵庫が壊れやすい季節のようである。ネットにそういう体験談が多く出ていた。確かに、外気温と庫内温度との対立が激しくなれば、そこに無理が生じ、一気にどちらかの方へ引き込まれてしまう。しかし、いつまでも暑いわけではない。赤く輝く太陽は冬になれば大人しくなる。このクソ暑い時には、あえて冷蔵室、冷凍室の冷たいもの、価値あるものを一旦クーラーボックスに亡命させるなどして冷蔵庫を延命し、時間を稼ぐことが大事だ。無理に冷蔵庫を買い替えたりすれば、食品全滅の憂き目を見るかもしれない。堺利彦のように身を潜めつつ騙し騙し冬ならぬ夏の時代をやり過ごせば、10年後には大正デモクラシーという展開もあり得るだろう。涼しい季節にゆっくりと新しい冷蔵庫を選び、次の夏に備えればいいのだ。そう思いながら、よく冷えるようになった1997年製の東芝の冷蔵庫からアイスクリームを出した。

東芝って今も冷蔵庫作ってるんだ、そっちの方が驚き

 

▼この記事は香港の話でもある

 

電子ピアノ(1992?年製)

 これは2021年4月23にfacebook投稿。電子ピアノは家電なのかどうかよくわからないけれども。。。

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コロムビア エレピアン EP-913(多分)おそらく1992年購入

 たまたま30年前の電子ピアノをバラして基板を見たんだけど、歴史を感じたよね。

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 ここに写ってる半導体、ICチップは東芝NEC、シャープ、日本コロンビア、JRC日本無線)、下の小さなLSI沖電気、上のメモリが三菱電機。一つ残らず日本製である。

 今では想像もつかないが、そんな時代もあったんだなぁ。今でもしっかり鳴る、我が家でおそらく最古の電子機器であると思う。

 

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またなんか見つけたらここに追記する。