読んだ木

研究の余録として、昔の本のこと、音楽のこと、3人の子育てのこと、鉄道のことなどについて書きます。

Macでモバイルモニターが欲しければiPad一択だと誰か教えて欲しかった

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SidecarでiPadを使った様子

 長いこと、モバイルモニター(モバイルディスプレイ)が欲しいと思っていた。書き物やプレゼンをするときに、メインモニターにはワードやパワポを出し、サブモニターに資料などを映せると、とても便利である。今はそれが出来ないので、いちいち画面を切り替えている。Macなので、キーボードのcontrol + tabですぐに画面を切り替えられ、それほど苦ではないのだが、それでもいちいち作業が途切れるのは面倒であった。そこで、新年度になったらモバイルモニターを買う、というのが、僕の一つのタスクであった。

 

Windowsユーザーのモバイルモニターの選択

 僕はどうもローテクな人間なので、家電量販店へ行く機会があるごとにチラチラとモニター売っているコーナーに立ち寄って見てみたりしていたのだが、まだいい感じのモバイルモニターは出ていないと感じていた。アイ・オー・データのLCD-MF161XPなんかが代表的だが、主力帯のサイズが15.6インチでやや大きく、確かに1kgを下回ってはいるものの、持ち運ぶには重そうだ。いちいちHDMIケーブルやUSB-Cに繋がなければいけないのも面倒である。僕は余り詳しくなかったので、Bluetoothか何かで繋げると思っていたのだが、そういうものは売っていなかった。何より、常にリュックに入れておくほどの丈夫さはなさそうに感じたのである。画面を他人に見せることが重要な職業で、かつ出張なんかに持っていく人が使う用だな、という印象を受けた。

 しかし、いろいろ調べていくうち、13.3インチでそれなりに軽いものであればいいかな、と思う様になった。特に、WINTENのWT-133H2-BSは、重さはたった560gだし、画質もそれなりにいいし、レビューもそれなりに良いので(僕がレビューで重視するのは壊れやすさに関するものである)、非常に有力な候補であった。金額も大体2万円で、手頃である。僕がもしWindowsAndroidユーザーだったら、迷わずこれを購入していた。2万なら最悪壊れて修理できなくてもまた買えばいい。

 ただ、レビューのどこを読んでも、Macに関する記述がない。Macユーザーで、こんなに便利そうなモバイルモニターを使ってレビューした人が、1人もいない、ということだろうか。何でも新しいガジェットが出ると買っているイメージのあるMacユーザーが。

 

Macユーザーはモバイルモニターを買わないが……

 実際にそうなのである。Macユーザーはモバイルモニターなど買わないのであった。何故なら、Slidecarという、iPadをモバイルモニターとして使う機能がMacにはあるからだ。iPadなら軽くて丈夫、モニター以外の用途もたくさんある、というわけだ。

support.apple.com

 

 MacBook Airユーザーである僕もこの機能は知っていたが、三つの理由から検討に入れていなかった。

 第一に、iPadは高機能すぎて管理が面倒だ、ということである。モバイルモニターなら、買ってそのまま放っておいても、いつでも使える。すぐに使える。しかし、iPadを使えば、やれソフトウェア・アップデートだの、やれ充電だアプリだ、Apple IDだなんだと要求され、とにかく面倒である。

 第二に、値段が高い。最新版のiPad(2021、第9世代)が、64GBでも4万円弱。モバイルモニターの大体2倍の価格である。miniって書いてあるやつなら安いのかなと思ったら、こちらは64GBで6万円する。6万円も?画面小さいのに? MacBookみたいにAirとついてるiPadなら安いのかと思ったら、こちらは7万円超え。ただしレビューは総合星5つというあり得ない高さだ。どうなってんねん。古いモデルなら安いのか、と思って調べてみると、2019年の第7世代の32GB、という、今から比べるとかなりロースペックのものが出てきて、最新の64GBが4万だから容量半分で半額、二世代前だからさらに半額の1万ぐらいで買えるのでは?と期待したら5万。5万?なんで高くなるの?? 第6世代の32GBでようやく最新モデルと同水準の価格、第5世代の32GBで3万ぐらいまで落ちてくるが、それでも3万だ。まぁそれだけ便利なんだろう。

 第三に、これが最も大きい理由だが、画面が小さい。iPad Proの大きものでこそ12.9インチと、13インチ近くあるが、iPad Airは10.9インチ、普通のiPadは10.2インチしかない。これならスマホで見るのとあまり変わらないのでは?と漠然と思っていた。普段使っているMacBook Airが13.3インチなので、同じくらいないといけないのではないか。

 

 しかし、モバイルモニターのレビューにこれほどMacユーザーがいないとなると、やはり皆iPadを買っているのだろう。買うとしたらモニターの倍額か。かなり悩んだが、もうこれは仕方ないと腹を括って、購入することにした。モニターは1, 2年使えば壊れてしまうだろう。しかし、iPadはこの価格推移からしても、5年ぐらいは使えそうだ。うちには大昔に秋葉原ソフマップで中古で買った第2世代のiPadが子供のおもちゃにまだ活用されている。それを考えれば、つまり減価償却期間を加味すれば(実際は消耗品だけど)、案外高くない買い物かもしれない。うんぬんかんぬんと自分を納得させ、iPadを買うことにしたのである。

 

ポスト・アイパッディズム・エラ(iPadを買うべきである)

 そして、ポスト・アイパッド時代(iPad購入後)の僕の感想はこうだ。

 

 「何故もっと早く買っておかなかったのか」

 

 まずサイズである。サブモニターであれば、10インチあれば十分だった。サブモニターには表示するものが少ない。一つのpdfや、一つの画像である。それを加工するツールを表示したり、入力のためのいろいろなボタンがあるソフトウェア(ワードのような)を表示することもない。そうすると、そもそもメインのPCのモニターでも、10インチぐらいの領域しか使っていないのである。

 使ってみたら、あまりに便利。いちいちiPadをつけたりしなくても、とりあえずiPadが近くにあれば、MacからワンクリックでiPadに画面を拡張できる。しかも、そのままマウスカーソルがスイー。思った以上に普通にモバイルモニターである。コードを出さなくていい。これは便利すぎる。これまでいちいちMacを取り出して開いて行っていたブラウザ上での雑務(連絡や色々なログ、発注など)もiPadだけで済むようになった。座れない電車内やちょっとした隙間時間でも楽にできる。モバイルモニターの倍の値段するだけはあって、iPad、便利である。

 そして、丈夫さ。ハードケースは付けても全く重くならない。モニターならケースで重くなったり、ケースやケーブルのコストでプラス1万円弱かかるところであった。僕のリュックの中に放り込んでおいても壊れない、というのは大きい。モニターではそうはいかないだろう。それに、PCとの接続はケーブル不要、無線でできる。ケーブルが要らないのでコネクタを酷使して壊れることも、サブモニターを置く場所でいろいろケーブルの取り回しに苦労しなくてもいい。値段が2倍だが、モニターを壊して1回買い替える期間、壊れずにもってくれればいいのである。壊れた時の修理もAppleなら安心だ。

 持ち運びの軽さも、言わずもがなである。本当に軽い。ケースを入れても500gを切るというのはこういうことだ。本と電子辞書を電子化して、それらを持ち歩かないようにすればほとんど重さを増やさずに済みそうだ(ただし、電子辞書には電子辞書の良さがあるので悩ましい)。Wi-FiのみのiPadだが、手元のiPhoneとすぐにテザリングできるのも良い。ネット接続で不満を覚えることもない。こうしてどんどんAppleの術中に嵌ってしまうのだろう。

 

で、どのiPadを買うか、である

 iPadには、普通のiPadと、iPad Airと、iPad Proがある。僕が買ったのはこの、普通のiPadだ。

(2024/02/06追記:この次の世代は0.7インチ画面が大きいらしい→2022 Apple 10.9インチiPad (Wi-Fi, 64GB) - シルバー (第10世代)

 ただ、もし予算が許せば、iPad Airを買いたかった。重さが461gで一番軽く、厚さが6.1mmとかなり薄い(普通のiPadは7.5mmもある、結構違う)。チップの性能が格段に良いiPad Airがあれば、一部の作業をMacBook Airから切り替え、むしろパソコンを持ち歩かなくて良くなる可能性もあった。コネクタもUSB-Cでパソコンと一緒で、Zoomなども簡単にできるし、プロジェクターなどに繋いで講義をするのにも問題ない。そうだとすれば、7万ちょっとという金額も、パソコンよりは安いし、iPhoneが結構高いことを考えれば、むしろありなのでは?という気までしてくる。予算さえ許せば、だ。

 そして、もし広い画面がほしいということになれば、iPad Proを買うことになる。12.9インチあるので、普通にパソコンの画面のサイズだ。まぁ、値段もパソコン並み(13万から)だけど。っていうかこれがあれば、iPhoneMacBookの両方がいらなくなるのではないか。そうすると13万という価格も、それほど高くないように思えてくる(錯誤)。真面目な話、電話はイヤホンApple腕時計があればいいのであって、肩が痛くなるような重いパソコンや、指の形が変わってしまうようなスマートフォンを持ち歩かなくて良くなるのではないか。そうなるとマジでユビキタスみがあるな。

 

 なんだか期せずしていっぱしのパソコン周辺機器レビューみたいなこと書いちゃったな。こういう記事へのAmazonリンクの親和性の高さもすごい。そしてAppleは写真がいちいちかっこいい感じである。こういうところで儲けてるんだろうな。まんまとはまってしまった気もするが、いや、実際に生産性も上がっているし(特に非文字化資料からの転記などが全然早い)、これは有効な投資だったといえるだろう。Macユーザーの皆さんにも是非おすすめしたい。

 皆さんがこの記事のおかげで、僕がモバイルモニターのチョイスで悩んでロスした数時間(時給に直せばiPadを買えるぐらいになったはずだ!)が節約できることを祈る。

 (2024/02/06追記)あと、iPadを立てるスタンドもあった方がよい。これが一番いい。

 

逆に、iPadを持っているならパソコンはMacBook Airを買うべきである

 これは当然の話で、むしろiPadを持っていてMacBookを持っていない人はいないと思うが(それは単に数万単位のお金の無駄なので)、Sidecar機能を使っていない人はそれをMacBookと合わせて使ってほしい。

 特に大学生は、資料の引用文を作ったり、図表を見ながらレポート本文を書いたりすることがあるだろう。これは絶対に画面を分けたほうがいい。頭のリソースが少なくて済む。というのも、画面を切り替えると、その間に、資料の文章や図表の内容を、一瞬記憶しなくてはならない。そして、暗記したことを元に書くことになる。しかし、一度にたくさんは記憶できないし、記憶したままその記憶の断片を元に何かを考えるのは非常に難しい。サブディスプレイ化したiPadに資料や図表を表示し続け、それを見ながらメインのPCで書けば、いちいち断片的に記憶したりする必要はなくなる。考えながら書くことができる。昔の連中は、資料は紙で、入力はパソコンで、と分かれていたからこういう悩みはなかったが、今の連中は画面が一つしかないせいで相当書くスピードや考えるスピードが落ちている(プレ・アイパッド時代の僕のことだ)。モニターが二つあれば万事解決だ。

 MacBookは、Proもあるが、性能が高すぎるし重い。Airで十分だ。金額も手ごろである。

 

既に多くの人が教えてくれてた

 記事のタイトルに「誰か教えて欲しかった」と書いたが(そしてそれは本心なのだが)、既にSidecarの有用性を書いたブログは多くあった。

 持ち運びが楽だという話や、

garretcafe.com

カフェや仕事場以外の部屋などで活用できるという話、

gadget-nyaa.com

そもそも(僕の持っている)M1 MacBook Airでは外付けディスプレイが1つしか繋げない(これは初めて知った。ボードのサイズを小さくするためにポートも減らしているという話は聞いたことがある)から、Slidecarを使うしかないという話、などなど。

 あと、この記事に書いてあるように、

pgary.hatenablog.com

普通の外付けモニターを使うとスリープからの復帰時などに不具合が出たり、設定が初期化されるなどのエラーがあるというレビューが散見される。これも外付けモニターを長いこと買い渋っていた大きな理由である(だが、その代わりにSidecarを勧める上のような記事には、皮肉なことに購入前には行き当たらなかった)。

 色々情報を総合すると、Sidecarは2019年のmacOS Catalinaのリリースに合わせて開始された機能のようで、当初は色々不具合もあったようだが、今は本当になんのストレスもなく使える。

 ただし、上記紹介ブログ記事の中にはいくつか課題点も示されている。5年前のMacだと動作が重いとか、iPadからテザリングしている時にSidecarを同時使用できない、あとはSidecarではMacのカーソルを使う場合、タッチが使えない、などだ。ただ、それは使用上何かネックになることというよりも、今後さらにアップデートしていった場合の課題というところだ。現状で十二分に便利なSidecarの機能は、もっと知られても良い(そしてiPadの売れ行きが伸びるなどして価格が下がり機能が追加されてほしい)。

 

おまけ iPadiPad 2

 せっかくの機会なので、iPadiPad 2を並べて記念撮影。iPad 2とは言っても、その実はiPadの第二世代で、日本では2011年に発売された。僕は2012年ごろに中古で買ったのだと思う。最新のiPadは2021年のモデルなので、ちょうど10年の新旧比較、ということになる。

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ロック画面とホーム画面

 iPad 2には懐かしいアプリがいろいろ入っていてそのままにしている。子供は主にお絵かきアプリを使う。アイコンも古いままだ。

 動きの滑らかさは、案外変わらない。大きく違うのは文字入力のスムーズさである(そしてこれは非常に重要だ)。それから、iPad 2は非常に重い(600g超え)。ケースを入れても500gを切るiPadと比較すると、やはり600gというのは相当の重さがあり、560gのモバイルモニター(ケースを入れれば600g超え)を買わなくてよかったと安堵した瞬間である。