読んだ木

研究の余録として、昔の本のこと、音楽のこと、子育てのこと、鉄道のことなどについて書きます。

本に関すること

「はたらけど…」の一首に石川啄木のストイックさをみる

エレベータには鏡がついている。これは、主に車椅子利用者のための配慮だ。ウォークスルー型の、つまり両面に扉がついている形のエレベータでない場合、車椅子利用者が前進でかごに乗車した場合、出るときは後進になる。そのため、鏡をつけて後ろが見られる…

渋谷が廃墟になる日

渋谷に久々に行ったが、随分と変わったものだ。夜でも人は少なく、ネオンだけが燦々と輝いている。昔は目新しかったこのごちゃごちゃした広告も、中国の大都市の様子を散々ネットで目にした後では、むしろ空の広さが目立ち、侘しい感じがする。 このまま高齢…

ブログ名「読んだ木」について

スコットランドのスカイ島に生えていたいい感じの木 前の記事(なぜnoteではなくはてななのか - 読んだ木)で触れた通り、僕はこれまでなんどもブログを作ってきた。しかし、毎回どのようなブログ名をつけるか悩む。というのも、いずれのブログも大したテー…

JR上野駅公園口

東京駅丸の内口の行幸通りを彷彿とさせるような、真っ白で広い遊歩道が改札から続いている。改札前の道路は左右に分断され、横断歩道は廃止された。ここは新しいJR上野駅公園口。春の日差しが芽吹き始めた木々をやわらかく照らしている。改札を出た人は自然…

梅、桜、山吹——春の花を詠んだ歌

東京は、桜が咲き始めた。 咲き始めだが、結構勢いよく咲いている。今週は晴天が続くから、三分くらいまで咲いていくかもしれない。 春は嫌いだと散々言っているが、今年はコロナで普段からマスクをするようになったおかげか、花粉症の症状が軽くて助かって…

ゾ、ゾー、ゾウ

ゾという動物がいるのをご存知だろうか。「ゾ」という、一文字の名前の動物である。英語でDzo、チベット語でམཛོ་と表記する。ヤクと牛が交配した動物で、「牛よりも大きく、力強い」とWikipediaに書かれている。エベレストの麓の高山地帯が広がるチベットや…

桑木厳翼『現代思潮十講』(1913)

2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ 作者:ピーター・ディアマンディス,スティーブン・コトラー 発売日: 2020/12/24 メディア: 単行本 日本において「現代思想」が人気なのは、今も昔も変わらない。ただ、大正期の方が、今の浅薄な流行を追い求める「現…

福音館の科学の絵本

寝室にベランダの出入口があるために、夕方子供が寝ていたりすると、洗濯物を取り込むことができない。そうすると、夕飯の準備やら何やらで時間が過ぎて、寒風吹きすさぶ夜中に洗濯を取り込むことになる。しかし、いいことも多少あって、それは星空を見上げ…

高千穂鉄道と推理小説

鉄道ファン 2001年1月号 メディア: 雑誌 実家に置いてあった、僕が昔読んでいた鉄道雑誌を、子供が引っ張り出してきて読んでいる。20年以上前の鉄道の様子を振り返ることができて、親も懐かしい。 どういう経緯でそうなったのかよくわからないが、子供の気…

料理エッセイ本あれこれ

これも昔、インスタグラムで書いたことがあるんだけど、僕の好きな三大料理エッセイ本は、一つ目が米原万里『旅行者の朝食』、二つ目が桐島洋子の『聡明な女は料理がうまい』になる予定(まだ読んだことがない)で、三つ目が玉村豊男『料理の四面体』である…

グレーバーの「根本的他性、あるいは「現実」について」とオンラインについて

思想 2020年 10 月号 [雑誌] 発売日: 2020/09/28 メディア: 雑誌 (これは2020年10月1日にフェイスブックに投稿したやつ。) 岩波の『思想』10月号に掲載されていたグレーバーの「根本的他性、あるいは「現実」について」を読んだ。他性を、自らとは別の存在…

逃げ恥の新春スペシャルがすごく嫌いだった話

文學界(2021年1月号) 発売日: 2020/12/07 メディア: 雑誌 (これは1月3日にフェイスブックに投稿したやつ。フェイスブックにあると流れてっちゃうのでブログに移した) ハンガリーの諺をモチーフにしたドラマ、いわゆる逃げ恥の新春スペシャルドラマをネット…

育児のバイブル 松田道雄『育児の百科』

松田道雄(1908 – 1998)は、小児科の医師である。そしてこの『育児の百科』は、1967年に彼が出した育児書である。 定本育児の百科 (岩波文庫)〔全3冊セット〕 作者:松田 道雄 発売日: 2008/02/15 メディア: 文庫 こう書けば、『育児の百科』はまるで医学書…

ウィリアム・モリス『無可有郷通信』

ユートピアだより (岩波文庫) 作者:ウィリアム・モリス,川端 康雄 発売日: 2015/04/16 メディア: Kindle版 本当は、「古い本」っつーことでアレクサンドル・ボグダーノフの『赤い星』を取り上げたかった。なのだけど、最初で最後の訳が出たのが1926年の大宅…

中沢臨川・生田長江『近代思想十六講』(1915)

近代思想十六講 作者:中沢臨川,生田長江 発売日: 1924/01/01 メディア: - デジコレ(今は近デジじゃないのね)で公開されるようになって、戦前の本はだいぶ閲覧しやすくなった。まぁだけど読む人いないよね。 戦前の日本というと、20世紀初頭の新カント派…